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天国の母へ

母が逝ってから早一年9ヶ月の月日が流れた。

母はもうこの世にいないけれど、「母の日」は毎年やってくる。

そして、やはり「母の日」が近づくと母への想いが一層つのる。





母が私のところにやってきたのはちょうど10年前のこと。
「最近、お義母さん、物忘れがひどくてね・・・」と顔を曇らせながら、当時、母と同居していた義姉が私の元に母を連れてきた。

義姉と並んで玄関に立っているうつろな眼をした母の顔を見た瞬間、私は驚きで胸が潰れそうになった。
夏の間、たった1ヶ月ちょっと離れている間に、一体、母に何が起きたというのだろう・・・!
ほんの少し前まで生け花教室の先生として生徒さんたちの指導に当たっていたではないか・・・
「もしかしたら母は・・・」という思いと、「私の母が何故・・・」とい思いが頭の中を忙しくグルグルと駆け巡った。

そして、その日から母は私と一緒に暮らすこととなった。
母との悲喜こもごもの長いドラマの始まりである。

母と過ごした何年間ものさまざまな出来事は、とてもここに書ききることはできないけれど、これだけははっきりと言える。
それは、晩年の母と、それもすっかり幼子に戻ってしまった母と共に過ごす時間をもらえて本当に幸せだった・・・ということ。
そして、母はこの世での最後の時間を私の腕の中で迎えた。
それを母は選んでくれたのだと私は思っている。

華道と茶道の師匠として半世紀近く教え、また、良妻賢母の誉れ高かった母。
子供のころ、美しい和服姿の母は私の自慢であった。
そんな母が少しずつ壊れていく様子に暗澹としたこともあったけれど、次第に素直な気持ちで「お母さん、認知症になって良かったね・・・」と言えるようになっていた。

母が亡くなる少し前にこのような日記を書いていたのを思い出した。

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肺炎を起こして母が入院しました。
入院後、最初の一週間は見舞い客で賑やかだった病室も今ではシーンと静まりかえっています。

母は現在、体調は小康状態を保っているのですが、3日ほど前から声かけしても反応がなくなってきました。。。

寝たきりになると頭のほうは一挙に進んでしまうということは覚悟していましたが、こんなに早くわからなくなるとは。。。

他の家族たちの顔はおぼろげになっていても、息子と私の顔だけはしっかりと覚えていて、顔を見せると眼を輝かせて喜びを表現してくれていたのに。。。

遂にこの日がきたのですね。。。

今日も母のベッドの傍らに腰を下ろして、母の寝顔を見続けていました。
穏やかな顔です。きれいな顔です。
時折声をかけてみます。
「お母さん、私よ。えみこよ。聞こえる?」
「○○子(母の名前)さん、聞こえますか~? 目を開けてください。えみこですよ・・・」

母がつい最近まで何度も繰り返し歌っていた大好きな歌「春の小川」を耳元で歌ってみます。
「春の小川」を歌っていると、認知症になった母と過ごした思い出が走馬灯のように浮かんできて涙があとからあとから溢れてきます。

母の手を握りながら心の中で母と話をしました。

私から母に伝える言葉はやはり感謝の言葉ばかりです。
してもらった事ばかりで、私が母にしてあげた事はどれほどあるのだろう。。。
もっともっとしてあげたいことが沢山あったのに・・・

お母さん、
華道と茶道の先生をしていたあなたの美しい着物姿は私の自慢でした。
エプロンを外して、髪をアップにセットして着物に着替え始めると、幼い私は「あ~、お花の教室に出かけちゃうんだな~」って、ちょっぴり寂しい思いをしました。

お母さん、
本当は私にあなたと同じ道を歩んで欲しいと願っていたのですよね。小さい時から華道と茶道のお稽古を厳しくしつけられましたもの。
私がアメリカに留学したいと告げた時のあなたの寂しそうな顔は今でも忘れません。

お母さん、
それでも私がアメリカに滞在している間、忘れずに毎日手紙を送り続けてくれましたね。
私がホームシックにかからずに元気に海外で暮らせたのはお母さんの暖かい励ましの手紙のお陰でしたよ。。。

お母さん、色々と心配ばかりかけてきましたね。ごめんなさい。。。
お母さん、こんな娘を大切に大切に育ててくれてありがとう。。。
お母さん、お母さんの娘に産まれてほんとうによかった。。。
お母さん、大好き。。。

夕方、アルバイトを終えた長男が病院に寄ってくれました。

長男は幼少の頃、頻繁に母の家にお泊まりに行っていた「おばあちゃんっ子」です。

今では179センチの長身の息子が大きな手で母の小さくなった顔を愛おしそうに優しく挟んで、しばらく見つめていました。
やがて彼の目から大粒の涙がこぼれ落ちました。

そして、彼は母の顔に頬ずりしながら、
「おばあちゃん、ありがとう。。。おばあちゃんは世界一いいおばあちゃんだよ。おばあちゃん、大好きだよ。。。」
とつぶやきました。

お母さん、ほんとうにありがとう。

去年から相次ぐ検査で痛くて苦しい思いをたくさんしてきましたね。
よく頑張りましたね。

もう眠り続けていて目を開けてくれないのは寂しいけれど、お母さんの静かで穏やかな顔を見ていると、ほっとします。

おかあさん、ありがとう・・・

また明日ね。

おやすみなさい。
by utopia-amy | 2009-05-09 19:02 | ■ エッセイ
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■■■■ PROFILE ■■■■
東京生まれ

19才の時、事故により生死をさまよい臨死体験をする。

ミシガン大学ELI修了。  
帰国後、結婚。
二人の男の子に恵まれ、子育てをしながら英語教室を運営する。
次男が5才で発病し、その息子を通して様々な神秘体験をし霊的理解が深まる。以来「幸せに生きる極意」を探求。「今、ここに生きる」ことの大切さを噛みしめている。

2001年、ヒプノセラピストとして開業。
 
■ アクエリアス・ナビ セラピスト養成 講座修了
■ 米国催眠療法協会(ABH)認定セラピスト
■ 日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー
■ 問題解決セラピスト養成講座修了
■ 真氣光 氣功師
■ レイキティーチャー
■ 澤谷鑛オフィス所属カウンセラー
■ 「ホ・オポノポノ」ベーシッククラス修了

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心身のコンプレックスを解消するボーンメソッドを確立し、指導にあたっていらっしゃいます☆
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歯科医の顔を持つ一方、チャネラー、ヒーラーとして活躍されてる畠
山さんは、いつも「今、ここ」に全力投球される、とてもパワフルな方です。少年のような人なつこい笑顔に心がホッとなごみます。チャネラーとヒーラーの養成講座も開講中。
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